おしらせ2019

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2019年12月

山やら沼地やらにやらやらと冬場を過ごすための無数の鳥たちがわらわらと集いはじめてきているようなので近くの竹林も向こうの高い梢も水嵩の減った沢沼も枯れ落ち葉に覆われた山道もすべて目を向ける場所と耳を傾ける方向のあらゆるところは多国籍なのだか無国籍なのだか帰郷なのか在郷なのかそもそもそんなこたぁあずかり知らねえ鳥々の囀りなんだか絶叫なんだかに朝なら朝も暮れ方なら暮れ方も、一言で書いてしまうのならば、うるさい。
それでも明けるのが遅い冬の朝ぼらけの庭をつんざく誰かの一鳴も大きな鍋で丸ごと煮られているように見える沼の水鳥が水面をたたく羽音も枯れ葉を蹴散らしながら餌を探しまわる乾いた物音も捕えた獲物を枝に刺してネジを巻くような声を残して飛び去るちいさな影の羽ばたきも、それはそれでそれなりにしか頑張っていきてはいないようなこちとら人間の足音や溜め息なんかには及ばない比べてはこちらのすねを蹴飛ばされるようななにかがたしかにあるので、やっぱりなのかついなのか目と耳を奪われてしまうのこの時季は気づけば秋がすんで無断で冬がきていて今年もそろそろいよいよ暦と財布は痩せて布団ばかりが厚くなる年の瀬の始まりはじまり。

年々去来の師走にはこんな駄文長文は塵置き場の邪魔にならないように小さくまとめてさよならまた来年と書こうとの心づもりも旅にしあればの書き捨てついで。
今年もたくさんの方々にあちらこちらでお会い出来ました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました は取り急ぎのご挨拶。以下 まだまだありますお知らせ二つ。

ともあれ、皆さまにおかれましてはこころ愉しいクリスマスとこころ穏やかな年の瀬になりますように。

    坂村不在庵 拝。

●『花のライブ・熊本2019』
久しぶりの熊本でのライブです。初めての方も、そうでない方も是非。

〇日時:12月14日(土)     18:30開場
     19:00開演
〇会場:早川倉庫
〇入場料:3500円

※基本的に立ち見となりますが、椅子席をご希望の方は予め御連絡下さい。
 電話090-9397-6501 (坂村)。

●『井山三希子・作品展』
かれこれな長いお付き合いですが、ようやく初めての作品展です。お楽しみに。
〇日時:12月20日(金)、21(土)。
上記2日間は予約制にて営業します。店頭またはお電話にて ご来店時間のご予約をお願いいたします。
電話 090-9397-6501 (坂村)。
※電話での予約受付は12月5日(木)、14時からとなります。
〇12月23日(月)~30(月)は、ご予約は不要です。

※会期中の休業日。   12月22日(日)・25日(水)・29日(日)。 ※お支払いは現金のみとなります。

2019年11月
秋のおとずれは蛇のように近づいてきて間ぬけな蛙みたいに素足にサンダル履きで街やら山やらをぺたぺたと歩いたり立ち止まってみたり酔っぱらって布団にくるまったりしていて土中に這いりそびれた蛙よりか間ぬけな人間なんかには気づかれることもないままに蛇みたいな秋か秋みたいな蛇がひんやりと乾いたからだで巻きついてからんで夏に慣れきっていた足指やら首筋やらをチロチロと冷たい舌先の炎であぶりにかかるようであるので人間よりも間ぬけかもしれない自分はそんなふうにひえた朝晩の秋冷にも気づくまいとしてなのかやっぱり今朝もサンダル履きで山に入って後悔して蛇に呑みこまれる蛙の末期の悲鳴も出さないままに小さくくしゃみの真似ごとくらいはしてみても山中でははるばる渡ってきたのであろう鳥たちの騒音にちかい囀りにかき消されるばかりで向こうでは冬毛にはまだ生えかわらないままの哀しい身なりの寒そうな狸がもさもさと竹林をうろついているのを眺めて蛙以下の人間以下の哀しい自分はそれでもやっぱり狸よりも間ぬけなサンダル履きの秋のはじまりは彼方の街のお盆であるようで、そんなこと知らないあれこれが南瓜の馬車いえ南瓜の馬鹿の 神輿かついで街がざわつく里芋のおいしい季節はきらいではない。

10月の東京での2日間には、たくさんのご来場ありがとうございました。

引き続き、以下、お知らせ。

●『美の壺(NHK)・再放送』
11月3日(日)。23時~。
「ぬくもりの木のうつわ」再放送。
昔の名前で出ています。

●『熊本日日新聞・連載』
11月25(月)朝刊。
本文中には、今日の観点からみると差別的表現ととられかねない箇所が散見しますが、
著者自身に差別的意図はなく、著者がすでに故人であるという事情に鑑み、原文どおりにしました。 (熊日編集部)

すみません。ウソです。がんばってこれから書きまあす。

●『花の会・11月』
今回は、11月30日(土)、12月1日(日)です。
立田自然公園では今年最後の花会です。暖かくしてお出かけ下さい。

●『花のライブ・熊本』
〇会場:早川倉庫
〇日時:12月14日(土)。
18時半開場・19時開演予定。
〇入場料:三千五百円。
※会場の都合上、若干の椅子のご用意もありますが立ち見となります。
※予約制ではありませんので、受付順の入場となります。

てなわけで、久しぶりの熊本ライブです。たっぷりやります。見たことのある方も初めての方々もお待ちしています。 忘年会は来年でも出来ます よ。

●『井山三希子作品展』
12月20日(金)~。
※作家在廊日:12月20日(金)・21(土)。
※両日ともに、各回一時間程度の予約制となります。
ご予約方法の詳細等は来月の欄で告知いたします。

井山大姉とは市民プールでの出会いから、はや二十年弱のお付き合い。で、ようやくの初個展です。詳細はしばしお待ちを。


そんなこんなで、残すところ2ヶ月したら来年。 あちらやこちらでお待ちしています。

坂村不在庵 拝。

『会・花』

まあ、世の中には縁みたいなものがあるようで、それでも交わりあわないままの縁というのもあって、たまたま今回は4人の気分だか呼吸がちょうど合ったようなので企画がまとまった次第。

初回に当たる今回は花がホスト役ですが、皆さん喧嘩上等の喰い合い気分。

熊本でしか見られませんので是非。

詳細は以下、泰勝寺hpにて。

2019/11/2(土)

①11:00~

②13:00~

会費:10,000円(税込)

花  : 坂村岳志

珈琲 : オオヤミノル(オオヤコーヒ焙煎所)

料理 : 細川亜衣/コーヒーリゾット(1品)

菓子 : 鶴見昂(FLAVEDO par LISETTE)/温かいデザート(1品)


2019年10月

この時季らしいつよい雨や風のやみ間とひどい痛風の発作のきれ間を見はからって歩く山道 は年を追って増えつづけているらしい猪の荒らして散らしたそこここの無惨さにいよいよ目や心もどうしようもなく慣れてきたようで足どりもかるくひょいひょいと掘りかえされ踏みあらされたあちらやこちらをよけたり跨いだりしながら眠たげな藪蚊に追いつかれない速度で歩きはするものの、そこはやはり風たちぬ今は秋であって足元ばかりに気をとられてすすむからだは台風で倒された木枝やら職人芸な蜘蛛の巣だとか冬籠もり前のすきっ腹なスズメバチの羽音に立ちどまったりなんなりするたびに山のなかには人間なんている余地もないような後ろめたい気分になりながら潔くマイクを置いて引退してゆく人の後ろ姿で人里に下りてゆくとビーサン履きの足指にちくりと短くてつよい痛みを残すのは大風で落とされて自分でけっとばした栗のいが。からげたズボンの裾やらシャツの袖口には服から毛が生えたかと見まがうばりに雑多な植物の雑多な種子がついているのは人間ごときもただでは帰さない自然のしたたかさ。
山道でふいに足をとめてみて耳ばかりの存在に自身をひそめてみるときに垂直にこころの深部に落ちてくる木の実の音。 読経も命日もない野良猫の死骸。

カマスの一夜干しと梅干しのはいったお湯割りがあれば寂しくはない人間さまの秋の暮れ。

以下、お知らせをいくつか。

●『音 生花』
日時:2019年10月19日(土)   
第一部・開場15:30 開演16:00   
第二部・開場17:30 開演18:00
会場:DEE’S HALL
入場料:\4,000
出演:坂田明(sax,clarinet,vo), 勝井祐二(violin), 坂村岳志(花)
メール予約:yoyaku.otoikehana@gmail.com
(お名前 / フリガナ/ ご希望の回 / 枚数を明記の上、お申込み下さい)
問合せ:080-6580-3018(平日のみ)

●『ダンス 花』
日時:2019年10月20日(日)
開場:15:00
開演:15:30
会場:DEE’S HALL
入場料:予約 ¥3,500  当日 ¥4,000
出演:山田せつ子(ダンス) 坂村岳志(花)
予約メール:liveyoyaku17@gmail.com
(お名前 / フリガナ/ 枚数を明記の上、お申込み下さい)
問合せ:090-9397-6501 (坂村)

●『花の会・10月』
26(土)・27(日)。
よい季節。お出かけください。

●『熊本日日新聞連載』
今月は28(月)掲載予定。
 淳一とマリ子の恋の行方は…。
 残された簪と結び文。そこに立ちはだかる黒装束の謎の集団の意外な正体!。
 好評のシリーズ第三弾。
すみません。嘘です。普通にいつも通り書きます。すみません。

●『花のライブ・熊本』
12月14(土)。早川倉庫にて、久しぶりの熊本でのライブ。
詳細は決まり次第更新いたしますが、たぶん夜です。

という訳で、あれよと歳末。あちらやこちらで、たくさんの皆さまにお会い出来ますように。

       不在庵拝。


2019年9月

はやくに訪れてながく続いた秋の雨が蝉しぐれをぬかるみから川へ、川から海流へとながし去ってしまい、たまの雨の止み間にはながくネジをまくようなもの悲しく聞こえる虫のこえ。降り止まない雨のおかげで永い土中のくらしから成虫になれなかったであろうおびただしい数であろう蝉の幼虫があちらの樹木のした、こちらの庭土のしたで外界にでることなく泥水にふやけて溺死していることを思うと意外にも土中は肥沃に肥満しているのであろうから深く根をはる植物たちは雨にうたれ日ざしを浴さないまでも、聞かれるはずであったあれだけ蝉の声を封印した養分を吸い上げた体内は滋養に満ちているのであろうから今年の冬の花々はうつくしくゆたかにひらくのかもしれないなと考えながら泥だらけのビーサンとふやけた足を川で洗う風たちぬ今は秋。
ひと気も途切れ泥濘と化した山中では猪がご機嫌であばれまわるようで、その光景はさながら人の死なない戦場のようであって荒らされた山道の傍らに咲く初秋の早朝の露草の花はちょっと周囲との違和感を感じさせるくらいにうつくしい。
以下 お知らせ。

●『花の会・9月』28日(土)、29(日)。
ひと月休むだけで久しぶり。ご来場お待ちしています。

●『熊本日日新聞・連載』
今月は30日(月)掲載予定です。

●『音 生花』
日時:2019年10月19日(土)   
第一部・開場15:30 開演16:00   
第二部・開場17:30 開演18:00
会場:DEE’S HALL
入場料:\4,000
出演:坂田明(sax,clarinet,vo), 勝井祐二(violin), 坂村岳志(花)
メール予約:yoyaku.otoikehana@gmail.com
(お名前 / フリガナ/ ご希望の回 / 枚数を明記の上、お申込み下さい)
問合せ:080-6580-3018(平日のみ)

●『ダンス 花』
日時:2019年10月20日(日)
開場:15:00
開演:15:30
会場:DEE’S HALL
入場料:予約 ¥3,500  当日 ¥4,000
出演:山田せつ子(ダンス) 坂村岳志(花)
予約メール:liveyoyaku17@gmail.com
(お名前 / フリガナ/ 枚数を明記の上、お申込み下さい)
問合せ:090-9397-6501 (坂村)

ようやく、花のセンセーの季節。あちらやこちらでお待ちしています。

          不在拝。

2019年8月

正直者の孝行息子みたいな高気圧が今年も遅ればせながらも正直にやってきたのはよいもののなにせでかい図体なうえに手ぶらでやってくるもので貧乏長屋の井戸はあちらもこちらもからからに干上がってきてしまい山も川もげっそりと痩せはじめていて白い葉裏をみせてしなだれている草花や白く乾いた山道やら白い砂州ばかりがむきだしの河川敷だとか白く照りかえす街なかのビルもアスファルトも車の行列も、目にうつるものみなすべてが、わるい子じゃないが元気がよすぎるわりには近ごろあまり気のきかなくなってきている正直者の孝行息子にいろいろな汗をかかされはじめる、今年の夏も本番のはじまり。
吐く息までもが茹であがって白くみえるような午後をうつらうつらとすごし、日中の白暑があくびをして夕暮れへときびすをかえすその頃には屋台のおでんやの鍋がかすかな白い湯気をたてはじめているはずで何処からひいている電気なのやらテレビではナイター中継がながれているのだけれど興味も関心もない裏か表かもわからないそんなふうな興味も関心もない穏やかなこころ持ちで眺めるでもなく眺めがら一昨夜にはちょうどよかったはずの白いはずだったはずのはんぺんやら白滝やらちくわぶやらを白い割りばしでつつきながら鍋の白い湯気のこちら側で白い湯気をたてる焼酎のお湯割を舐めながらながめている、コップのなかで崩れてゆく梅干しと夕焼け空の赤い色。

以下 お知らせをいくつか。

『音 生花』
日時:2019年10月19日(土)   
第一部・開場15:30 開演16:00   
第二部・開場17:30 開演18:00
会場:DEE’S HALL
入場料:\4,000
出演:坂田明(sax,clarinet,vo), 勝井祐二(violin), 坂村岳志(花)
メール予約:yoyaku.otoikehana@gmail.com
(お名前 / フリガナ/ ご希望の回 / 枚数を明記の上、お申込み下さい)
問合せ:080-6580-3018(平日のみ)

『ダンス 花』
日時:2019年10月20日(日)
開場:15:00
開演:15:30
会場:DEE’S HALL
入場料:予約 ¥3,500  当日 ¥4,000
出演:山田せつ子(ダンス) 坂村岳志(花)
予約メール:liveyoyaku17@gmail.com
(お名前 / フリガナ/ 枚数を明記の上、お申込み下さい)
問合せ:090-9397-6501 (坂村)

2019年7月

からからぱさぱさで農家さんにおかれましてはさぞ難儀だろうが浮き世の日々を無為にすごすにはこのうえないなと無責任にある意味での好天気にうつつをぬかしていたものの6月というのはやはりあたりまえに雨雲はやってくるものであるようで、それがまた律儀にもそれまでのぶんの帳尻をあわせようとするのかたまらなくまとめて降ってくれるものだから軒々の雨樋も排水溝もはげしい下痢におそわれているし山道ではそこここで朽ちた大木が音をたててたおれるのを眺めたり倒木をまたいでよけて滑ったり散歩者からエサをもらえない野良猫がうらましげにニャアとも鳴かずにこちらを一瞥して行き過ぎていったりするのはなにも自分のせいではないとはわかってはいるものの後頭部あたりのどこかしらに好天時をぶらぶらすごしていたうしろめたさの湿度をとおくちかくの雨雲みたいに感じながら泥だらけのビーサン履きで山からおりて町なかにもどってくると、ともあれおのずとそんな足でも足はご近所の鎮守のかみさまのおわす境内へとむかい、おなじこころもちからか別の心情からか単なる恒例からなのかはおたがいに窺いしることもない足元ばかりはあきらかに自分よりか
は汚れてはいないらしいおおぜいの善男善女の列にまじってたがいに視線をまじあわせることもなく黙々粛々くるくると茅の輪をくぐり抜けたら何はともあれ今年も半分のおわりとはじまりはじまり。

以下、お知らせいくつか。

●『花の会・7月』
27(土)、28(日)。
●『熊本日日新聞、連載』三回目。
29(月)掲載予定です。
●『音、生花』
※詳細は以下。

『音 生花』
日時:2019年10月19日(土)   
第一部・開場15:30 開演16:00  
第二部・開場17:30 開演18:00
会場:DEE’S HALL
入場料:\4,000
出演:坂田明(sax,clarinet,vo), 勝井祐二(violin),坂村岳志(花)
メール予約:yoyaku.otoikehana@gmail.com    
問合せ:080-6580-3018(平日のみ)  

●10月20(日)。上記ライブの翌日は、コンテンポラリーダンスの山田せつ子さんとの2人でのライブを予定しています。
詳細は決まりしだい、更新します。

            さかむら



2019年6月

たくさんの樹々が息をふかく吸いこんで吐きだしてして日々にそれぞれの緑をふかく濃くその色合いをかえてゆく山路は濃淡もなくした緑陰が小暗いひとつの大きなひとつのいきもののように背をまるめてその巨体を横たえて眠りについているように眺められるようであるので、そのせいか別の理由からなのか深夜に帰宅するときや真夜中に酒瓶の口をきるときみたいな頼まれてもいない慎重さの足どりでズボンのすそをすこしからげて携帯電話をマナーモードにして掏摸師が駅にむかう姿勢でいつもの山にはいる。
梅雨入りまえのひっそりとよこたわる森は名前のわからない雑木の微細な落花が散りしいていて、あたりに近づくときまって樹上では姿はみえない蜂たちの羽音が弦をはじくような低音でひびきわたっており、むこうの竹藪では発育不良の竹が癇癪玉を破裂させたような音をひびかせて割れているようであったり、ときおりあちらの沼地から泥酔者のいびきみたいなフイゴの音が響いてくるのはウシガエルの存在証明だったりするものの、この時季の山はやはり何やらひっそりと目をひらいたままで寝息もたてることなく眠っている手足のない巨人のよう。梢も下草も繁るものは茂りきって陽のひかりを吸いきって見わたすかぎりに繁茂してあたりは暗いばかりとこわいくらいに眺められるものの、それでも例年よりも永くつづいているように感じられる今年の乾いて明るい晴天の朝日がつくる山路の斜面に射すときおりの木洩れ日がドライマティーニのビターズの一滴や聖堂のステンドグラスのきらめきやらのように感じ入らされるので、それならば人知れぬ山奥の棄てられたような早朝の聖堂でドライマティーニを飲んでみたらさぞや とか想いをめぐらせてビーサンで下る山道。

ものの音 木下闇まで 来て消える    とか。
以下、お知らせふたつ。
●『花の会・6月』
6月29(土)、30(日)。
今年も半分。夏越しの祓えと山開き。
雨の茶室もまた佳し。お待ちしています。

●『熊本日日新聞』
連載二回目は24日(月)予定ですなり。
県外の皆さまにおかれましては気になさらず。

●『花のライブ』
ちょっと先の話ですが、10月に予定しているお知らせふたつ。

①10月19(土)。
ジャズの坂田明さん、バイオリンの勝井裕二さんの即興演奏にあわせて、坂村が花をライブでいけます。
②10月20(日)。
コンテンポラリーダンスの山田せつ子さんのダンスと、坂村の花の、こちらも即興ライブです。

大御所かつベテランの、そして尊敬する御三方との趣向を異にした、大音響と無音の2日間。
詳細は決まりしだい更新しますので、まずはスケジュール帳にご記入下さいまし。

坂村不在庵拝。

2019年5月

句読点のない文章みたいに昼夜ふりつづく足のながい春らしい雨音に、4月のおしまいのいつもの山々は蛙の声も竹の落ち葉も猪のつくったけもの道も楠のやわらかな若葉も茶庭の苔もつくばいも膨らみはじめた梅の実も渡り鳥の去った池の水面も深いふかい緑に濡れた暗いばかりの誰かの瞳のような陰のなかにしずかに吸いこまれてしまったようにくらく溶けてしまうので、見なれたはずの山をあるくにも記憶のない夢のなかを目隠しでゆくように不安でしかたがなくて、それでもしばらくして下山した明るいこれまたいつもの市街で眺めるビーサン履きのよごれた自分の足指や往来のはげしい街路樹のつつじの花とか路地裏の草イチゴの実のある意味で好ましい俗な赤い色彩だとか新生活に慣れはじめて自転車の運転が雑になった学生の群れなんかがあたたかな雨中の空気のなかで春のおわりをつげているようで、あるかなきかの精神のどういう作用によるのだか連想の結果なのやら今夜は厚く切った鰹を辛子で食べたいな熱燗は初夏の暮れ方にこそ飲みたいなとあたまの食指をうごかす明日は皐月五月。

以下、お知らせ2つ。
●『花の会・5月』
5月25(土)、26(日)。さてさて。

●『熊本日日新聞・連載』
5月20(月)より、「くらし欄」にて月一連載がはじまります。
タイトルは「知春草生」(春草ノ生ズルヲ知ル)。
震災から三年が経ち、いまだ悩ましい復興途上の中ですが、季節が巡り春を迎えるたびに自然は変わらずに新しい命を芽吹いてゆく、というくらいの気持ちですなり。
熊本のみなさまご購読よろしくお願いします。県外のみなさまにおかれましては気になさらず。

散るものは散りおわり生じるものばかりに目をうばわれる季節。
カイゲンで変わるのは風邪の初期症状ばかりなり。

年々去来ノ花ヲ忘ルルベカラズ   とか。

          不在庵拝。

2019年4月

新元号が決まったそうで、しかし世の中どのくらいのどんな種類の方々がそれでオーワラワなのかは分からなくて、それはそれでこちらには関係も興味もないことなのでいつものように山に入りしてあちらの桜こちらの桜のひらき加減や散り具合ばかりにしか関心はないのだからやはり仕方なくというか、おのずとなにを飲みながら開きはじめた桜を眺めるか、なにを飲みながら散りゆく花を惜しむのかを布団のなかで外の様子をうかがう毎朝をむかえては過ごしているものの日々の天候はこの季節らしい寒暖差つまりは気圧配置の気まぐれにアタマはクラクラで、コンビニで燗のワンカップにするのか冷えたビールにするのか迷いあぐねて、とりあえず両方をたずさえて行くと当然に両方を飲んでしまうことになり、よい機嫌で池をわたす石橋から浅瀬をのぞきこめば茶色く濁った岸部には散りふきよせるピンク色の無数の花びら、その下には黒々としたおたまじゃくしの群れのうごめき。
猪が筍を食べ荒らしたむこうの竹林ではウグイスが我が世の春とばかりの名調子、こちらの山道には赤々と散り敷く楠木の落ち葉と早蕨の異形。
神が細部に宿りたまうのならば、この国にはやどる細部が多すぎてやおよろずでは足りない勘定の春もたけなわ。

以下、お知らせをひとつ。

●『花の会・4月』
4月27(土)、28(日)。
元号が変わろうと、ネコがイヌと呼ばれるようになろうと、週休2日制の10連休だろうと関係なくお待ちしています。

今日のみの 春を歩いて しまいけり  とか。
     坂村不在庵 拝。

2019年3月

節分が過ぎて雨が降ってチョコレートが売れ残って野良猫がしずかになって梅の花が散って冬物の靴下に穴があいていて、どうやらそういう細部から冬はしずかにしずかにもと来た道をもどってゆくのか帰ってゆくかをするようで、朝の空気や渡り鳥たちの枯れ葉を踏む音やおそい夜明けやかたく響く夜の靴音や枝に花鋏をいれる感触だとかを厭うわけではないけれど気分のどこかで飽きはじめていたらしいあれこれに哀切にちかい感傷をもちはじめているのはたしかなことでもあり、そうなると終わりの始まりはやっぱり何かしらの始まりであるのらしくて、山の池の水は増えはじめていて梢には黄色な花が咲きだしていて蕗の芽は塔がたっていて猪の糞は筍で満たされていて、目にうつる木々や草花の芽がこびとの買い物袋のように膨れあがっているのだから、これはやはりすでにと書いてよいくらいに春のはじまりはじまり。
くしゃみをひとつ。

みなさまにおかれましては、春には春になりますように。

以下、お知らせひとつ。

●『花の会・3月』
3月30(土)・31(日)。
春色ファンデでお待ちしています。

知春草生(しゅんそうのしょうじるをしる、とか)。
    不在センセー拝。 

2019年2月

土をぬらす睦月晦日の雨脚はつめたいながらもその雨音はやわらかくしずかで、池の水面やそこに浮かぶ渡り鳥や岸部の枯れ葭にはまるで気づかれることもないように、あたたかな手のひらでなでてすべてのものを寝かしつける誰かの想いのように「降る」と呼ぶよりは「降りつむ」ように景色を冬のおわりの光景へと静かにかえてゆくかに眺められるのだけれど、払暁の野良猫の恋鳴きや、陽あたりのよい斜面に咲きはじめた草花のしっかりと張った針金みたいな茎の感触や、どこでやら初午を知らせる鉦太鼓の音や、くしゃみした誰かの顔みたいに咲ききった梅の花やら、散らかして叱られた双子の玩具箱みたいなスーパーの菓子売り場を眺めていたりすると、意外にも春の訪れというのは賑やかなものであって、節分まえの暗く煮こごって眠ったままのあたまとからだを強制的に目覚めさせるために布団をひきはがす誰かの手のひらのようにも思われる年の初めの最初のおわり。 鬼はそと 福はうち。 以下 お知らせひとつ。

●『花の会・2月』 2月23(土)・24(日)
1月は寒かった。けれども2月は と、春色リップでお待ちしていますが暖かくしてお出かけ下さい。 末筆ながら今年もよろしくお願いいたします。

あちらやこちらで、たくさんの方々にお会いできますように。

坂村不在庵拝。

2019年1月

冬の朝の空はかたく澄明に晴れわたっていて硬度と重さのあるなにかにふれたときの実感が布団のなかの体内にはたしかにあり、それでもほかの季節、たとえば秋や春の朝にかんじられる体温と室温と感情とが蕎麦掻きのようにない混ぜになって胃の府でベタつくようなものがないからだろうか、早暁のどこかで鳴くアケガラスや庭で騒ぐツグミの声は新学期の黒板みたいな空にかたい鉛筆で引っ掻いて書いた未完成な物理学の定理か作曲中の短い音譜のように体内にキリキリと立ち上がってくるようで、なにかこうしてはおられない気分に駆られてついつい早起きをして、からだを雑木林にはこんでしまう。
山道の入り口には今年は南天の実がわっさりとたわわで、ひとのあまり通らない斜面、まだ踏んだことのない路ばかりをえらんで歩いていると至るところに昨夜の鹿や猪の匂いと痕跡があり、ふだん花屋で見るとうんざりしてしまうはずの千両の野生の群れにのウブさに目をみはり、朝日をうける檜に粛然とした気持ちになったり、なによりも一帯を覆い散り敷く山茶花と桐や曙杉の落葉の色彩と香気のあれやこれやらは声なき自然の絶唱であって、今朝も、やはり山は、でした。ワタシマケマシタワ。以下、お知らせひとつ。

●『花の会・1月』
1月26(土)・27(日)。
暖かくしてお出かけください。

〇年末年始は、通常営業しています。埃っぽい街とくだらないテレビに飽きたらおはこび下さい。

今年もいろいろな場所でたくさんの方々にお会いできますよう に。
坂村不在庵 拝。


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